出直し落選の前岸和田市長、報道への不満もチラリ「事実でないことが、あたかも事実であるように拡散」

永野耕平前市長(46)の失職に伴う大阪府岸和田市長選が6日、投開票され、新人で郵便局長の佐野英利氏(45)が永野氏、NPO法人代表理事の花野真典氏(46)、元高校教諭の上妻(こうづま)敬二氏(66)=いずれも無所属=を破り、初当選を果たした。
佐野氏の当選が確実になったとの報道を受け、永野氏が同市内の選挙事務所で会見。「当選されたのは佐野さんで、市民は佐野さんを選んだということ。これから佐野さんが市長として、この街をより良い街へ変えてくれると思う。僕も立候補したんですけれども、僕の市民への提案というのは選ばれなかった。一市民として、市政を応援していきたい」と敗北を宣言した。
出直し選に臨んだ永野氏だったが、3度目の当選はならなかった。「残念ではあるんですけれども、しっかりと自分の提案を市民の皆さんにすることができた。そのことについては感謝している。これまでお支えいただいた市民の皆さんもそうですし、岸和田市役所の皆さんにも感謝したい」と感謝の言葉を何度も口にした。
「今回の選挙は、いろんな難しさがあった」。永野氏は性的関係をめぐって、不倫関係にあった府内の女性から提訴され、24年11月に解決金500万円を支払い和解した。市議会は同年12月、不信任決議案を可決したが、永野氏は議会を解散。市議選を経て、市議会は2度目の不信任決議を可決。永野氏は2月17日に自動失職した。
永野氏は「やっぱり発端となるのは、事実でないことがあたかも事実であるように市民の皆さんに拡散された報道があった。僕のやってもいないことが表に出たということが、やりにくいところではあった」と強調した。
一貫して、女性への性加害を否定した永野氏だったが、プラカードを持って抗議する人の妨害や、事務所も取り囲まれたと主張した。「僕が性加害とか、女性に対する権利侵害をやったかのようなことを、道ばたでずっとやってる方々がいた。全く知らない人に追いかけられたり、怒鳴られたりということもあった。街頭演説やってる最中に、妨害に遭ったこともありました」と訴えた。
SNSやYouTubeを駆使して政策を訴えたが、及ばなかった。「政治家はうそをつかずに、うそのない正しい情報を市民、有権者の皆さんに提案して、選挙を戦わなければいけない。マスコミの皆さんは、しっかり公平公正であるとか、誰かの人生を潰すものではないかとか、そういうことを考えてお仕事をされるべきだと思いますね」と、報道への不満を口にした。
永野氏は「これからの時代、情報が新聞やテレビだけでなくてSNSやインターネット媒体からも得られるようになっています。しっかりと取捨選択を自分でされるような能力や力を、有権者の皆さんもどんどんレベルアップして磨いていかれるといいんだと思います」と提言する。
今後については「全然考えてないです」とした永野氏は「2期7年は市長としてやってきて、すごく楽しかった。自分が思い描いたことを市民の皆さんや行政機関の語り合いながら、議論しながら少しずつ、自分が理想としているような形の岸和田市に近づけることができたと思います」と振り返った。
(よろず~ニュース・杉田 康人)