中谷元・防衛相は8日、来日中のNATOのルッテ事務総長と防衛省で会談した。ロシアによる侵攻が続くウクライナを巡り、軍事訓練の実施や装備供給などを司令部として調整するNATOの支援組織に防衛省として参加する意向を伝達した。ルッテ氏は歓迎し、今後、参加に向けた協議を進める。
支援組織はドイツ西部ウィースバーデンの米軍基地内にあり、ウクライナ軍への装備品提供や修理、訓練の調整役を担う。具体的な協力の在り方は今後検討するが、防衛省は「実際の戦闘に関わることはない」としている。
会談の冒頭、中谷氏は支援組織参加について「ロシアのウクライナ侵略の教訓を収集する点でも大変意味がある」と語った。同時に「われわれを取り囲む安全保障環境は厳しさを増している」と強調した。
ルッテ氏は中国や北朝鮮、ロシアの軍事行動に触れ「世界の安定を損なう状況になっている」と指摘。欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だとして、日本の防衛費増額を歓迎した。
両氏は、宇宙やサイバーなどでの協力の推進でも一致した。