コンテナ3個を米国へ 原子力空母から放射性廃棄物搬出 神奈川

米海軍は17日、横須賀基地(神奈川県横須賀市)で定期修理中の原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)から低レベル放射性廃棄物を収めたコンテナ3個を搬出し、運搬船に移し替えた。放射性廃棄物の搬出は2年ぶり。2009年以降、ほぼ毎年実施しており、今回が14回目となった。
作業は午前9時に始まり、GWから巨大なクレーンでコンテナ(長さ約6メートル、高さと幅約2・5メートル)3個をつり上げて運搬船へ移動させ、約2時間で終了した。米国政府から外務省への情報提供(10年4月)によると、コンテナの中には放射能を帯びた雑巾やプラスチックシート、作業用手袋などが詰められているとされる。運搬船で米国に運ばれ、最終処理されるという。
1964年に日米間で交わされた原子力艦船の寄港に関する文書(エード・メモワール)では、放射能にさらされた物質は日本の港で搬出せず、廃棄物を出した原子力艦船が米国へ運ぶことになっている。だが、米側は陸揚げせずにクレーンで運搬船に移送するのは違反ではないと主張し、実施を続けている。
市民団体「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は「放射能漏れや被ばくの恐れがあり、危険」として、海上のボートや公園、横須賀中央駅などで監視・抗議活動を行った。共同代表の呉東正彦弁護士は「放射性廃棄物の搬出は日米合意違反。市民の安全や不安が無視されている」と訴えた。
一方、横須賀市の上地克明市長は10日の定例記者会見で「毎年行っている通常のメンテナンス作業」との見解を示している。
【福沢光一】