沖縄県恩納村は4月1日から、妊婦を対象に、最大3万円分のタクシー共通クーポン券を配布している。村内に産科がないため妊婦は村外への通院を余儀なくされており、負担を減らす目的で始めた。取り組みは県内初という。(北部報道部・比嘉海人)
タクシー券は、妊娠届け出時に2万円、妊娠8カ月の面談時に1万円を配布する。沖東交通や第一交通産業のグループなど、県ハイヤー・タクシー協会に加入するタクシー会社で利用できる。
恩納村の住民台帳に登録している人で、今年4月1日以降に妊娠届を村に提出した妊婦が対象となる。村によると4月25日時点で、7件の申請があったという。村の「恩納村妊婦健康診査受診等支援事業」で、財源はふるさと納税。年間利用者を80人と見込み、予算総額は240万円。
産科のない村内の妊婦の多くは車やバスで、うるま市や沖縄市、名護市の病院まで通っている。
昨年度、村が妊婦を対象に実施したアンケートでは、「医療機関まで遠い」「つわりなど体調が悪いときに移動が不安」などの声が寄せられたという。村が交通費を助成する案に「利用したい」と答えたのは3割だった。
村内には運転免許証を持っていない外国人や移住者も多い。村は妊婦の負担を減らし、定住促進につなげたい考えだ。
村健康保険課健康づくり係の職員で、保育士の大城健さんは「病院が遠く不安を感じる妊婦さんも多い。今後も支援を手厚くしていきたい」と話した。
問い合わせは同課、電話098(966)1217。