石破茂首相の政治資金パーティー券をめぐる闇献金疑惑を週刊文春誌上で告発した男性が12日、国会内で記者会見した。男性は石破氏に3000万円以上を闇献金してきたと主張。石破氏と1対1の討論を求めた。男性は証人喚問にも前向きだが、会見場を提供した立憲民主党ら野党は困惑気味だ。
男性は石破茂政経懇話会の元代表で、父親とともに石破氏を支援していた。男性は週刊文春で〈「私は闇献金をしてきました」石破首相〝元側近〟が週刊文春に告白する「3000万円献金」《収支報告書不記載の疑い》〉とのタイトルで告発していた。
男性は2003~14年にかけて、毎年数百万円単位で政治資金パーティー券を購入。そのほかにも石破氏が自民党総裁選に立候補した時には、石破氏側に複数回、現金を渡したと証言。その総額は3000万円を超え、それらは政治資金収支報告書に記載がないという。
石破氏はこれまで国会答弁などで「そのような事実はございません」と完全否定していた。男性はこの日の会見で「プライドにかけても戦います」と一歩も譲らないと主張。「石破さんと1対1で話をして、私の目を見て本当のことが言えるかどうか」とタイマン勝負をしてもいいと訴えた。
石破氏といえば永田町ではお金にクリーンなイメージで通ってきたが、男性は「クリーンという話が出るたび、嫌な思いをしていた」と苦々しく感じていたという。また、封筒に入れたお金を手渡した時のことを振り返り「当然のことぐらいの感じで、秒で受け取るというか」と感謝もされなかったと明かした。有名な和菓子屋の袋に入れてお金を渡したこともあったという。
しかし、これらの証言を裏付ける物的証拠はない。「物的な証拠は今現在、私の手元にはない。私自身が証拠だと思っている」と胸を張り「偽証罪に問われる証人喚問にも出る覚悟はできております」と意気込んだ。
告発者がこれだけ本気モードになっていることに石破政権を攻める野党は歓迎ムードのはず…と思いきやそうでもない。永田町関係者は「会見場を用意した立憲民主党ですが、本音では石破首相のまま参院選を戦いたいはずです。ここで誰かに代わられる方が戦いにくいでしょう。だから石破首相の首を取るつもりはなく、そういう意味では告発者のやる気に困惑しているのではないか」と指摘した。
ある立憲議員は男性の証人喚問の可能性に「この件でそこまでやるかどうか」と及び腰。立憲関係者は「ネタとして引きずり下ろすほどのものなのか。最近は古賀誠氏の長男の企業に対する利益供与問題も話題になっています。この件と石破氏の件を比較すると、額が違う。あっちは億ですからね。永田町の常識は世間の非常識と言われそうですが、石破氏はまだクリーン寄りな印象ですよ」と額の少なさを指摘した。
古賀氏長男の件をめぐっては12日、国交省が日本空港ビルデングに文書で厳重注意をしたばかり。同社の特別調査委員会では長男側への利益供与が06年から16年で4億円以上になると認定されている。
結局、石破氏のままズルズルといきそうだ。