転落巻き添え各地で…死亡の場合は刑事責任問えずも、被害者給付金「支給ケースも」

大阪市北区のタワーマンションから住人男性が転落し、下にいた自転車の通行人男性が巻き込まれて死亡した。上層階からの転落者に、たまたま下にいた人が巻き込まれる事案は過去にも相次いでいる。
大阪市北区では令和2年、商業施設「HEP FIVE(ヘップファイブ)」(10階建て)の屋上から男子高校生=当時(17)=が転落し、下にいた女子大学生=同(19)=に直撃。2人とも死亡した。
大阪府警は男子高校生を重過失致死の疑いで容疑者死亡のまま書類送検。この事故を受け、大阪市は施設運営側に転落防止の柵や金網などを設置するよう指導した。
昨年8月には横浜市西区の「JR横浜タワー」の12階デッキから飛び降りた女性が歩行者の女性とぶつかり、いずれも死亡。神奈川県警は同年11月、飛び降りた女性を同容疑で容疑者死亡のまま書類送検した。今年1月には、東京都渋谷区の商業施設「渋谷パルコ」の10階から若い男性が転落し50代の通行人と衝突。通行人は頭部を負傷、転落男性は死亡した。
マンションでも同様の事例がある。平成20年3月、東京都立川市の14階建てマンションの11階に住む50代男性がベランダから転落。その下を自転車で走行中の当時40代の女性とぶつかった。男性は死亡、巻き込まれた女性は太ももの骨を折る重傷を負った。
国の「犯罪被害者等給付金」制度では原則、過失事件は給付対象とならないが、重過失致死に問われるような飛び降り巻き添え事件の場合は「給付されるケースがある」(警察幹部)という。