副業の募集をうたうサイトを巡る詐欺事件で、警視庁犯罪収益対策課と福岡県警などの合同捜査本部は27日までに、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで、職業不詳石垣勇輔容疑者(41)=東京都江東区有明=を逮捕した。認否は明らかにしていない。同容疑者は詐欺グループの統括責任者とみられる。
同課によると、グループは副業募集や出会い系など複数のサイトを運営し、2023年1月~24年5月、約1万人から計約53億円をだまし取ったとみられる。合同捜査本部は、石垣容疑者の上位にグループ運営役がいるとみて、全容解明を進める。
同課によると、同容疑者はうそのメッセージを送る「打ち子」らをまとめる「運営」、メンバーの報酬などを扱う「経理」、苦情を訴えた被害者に対応する「法務」の3部門を統括していた。
グループは、複数のペーパーカンパニー名義で、サイトの運営やメンバーへの給料の支払いをしていた。同課は、同一グループと分からないようにして、摘発を逃れようとしたとみている。
グループは東京のほか、宮城、埼玉、福岡各県に拠点を置いて活動。被害の訴えがあった場合、被害者が振り込んだ額の一部を返金するとともに、「警察には相談しない」と宣誓書を書かせ、トラブルが拡大しないようにしていた。
逮捕容疑は21年2月~22年7月、グループが運営する出会い系サイトに登録した千葉県の40代女性と埼玉県の20代女性から、男性にメッセージを送るための利用料などとして、計40回にわたり計約1108万5000円をだまし取った疑い。
グループを巡っては、これまでにメンバー計88人が逮捕され、うち85人が起訴された。 [時事通信社]