北朝鮮漁船は日本の排他的経済水域(EEZ)にある好漁場「大和堆(たい)」よりも北方に進出しており、ロシア当局に拿捕(だほ)されるケースが急増している。北朝鮮船からの銃撃も確認されており、日本政府関係者は「日本は摘発などの措置を取っておらず、北朝鮮側が大和堆周辺での違法操業を一層強める恐れがある」と指摘。食糧難の北朝鮮は国策で漁業を「戦闘」とし、水産資源の確保に活路を見いだそうと、日本海周辺で国際ルールを度外視したなりふり構わぬ操業を継続している。
ロシアメディアなどによると、ロシアは一部の北朝鮮漁船にEEZでの操業を許可している。一方、北朝鮮漁船による違法操業も以前から行われてきた。ただ、ロシア側は経済難に苦しむ北の国情に配慮し、厳格な取り締まりをしてこなかった。結果的に違法操業が拡大するなどし、ロシア側は摘発を強化したとみられている。
北朝鮮当局は平成16年ごろから外貨稼ぎのため中国漁船に近海の漁業権を売却。北の漁民らは、より遠い海域での操業を余儀なくされている。政府関係者によると日本が大和堆での取り締まりを強化するなどしたため、寛容だったロシア側に漁場を移行した可能性があるという。
ロシア連邦保安局(FSB)は9月12日、日本海のロシアEEZで違法にイカ漁をしたとして北朝鮮漁船16隻を拿捕し乗組員250人超を拘束したと発表。その後も摘発は続き、9月以降で800人以上が拘束されたという。
北朝鮮漁船側が摘発時に強く抵抗することもあり、ロシア当局側の4人が銃撃を受けるなどして負傷し、北朝鮮の乗組員にも死傷者が出た。今月に入り、北朝鮮漁船4隻を拿捕した際にはロシア当局側が火器を使用し、漁船の乗組員5人が負傷したとされる。
日本政府関係者は「ロシアの対応強化で漁船が拿捕されると、北朝鮮は漁が継続できなくなる。このため退去警告や放水で取り締まりを行う日本の海域での違法操業を強めてくる恐れがある」と懸念を示した。