今回のテーマは「ダニ媒介感染症」。春から秋にかけての時期にダニが活発になり感染例が増えるものです。今年も既に山陰両県で症例が報告されています。ダニが媒介する感染症の危険性や注意点などについて、専門の医師に話を伺いました。
鳥取県立中央病院感染症・総合内科の椋田権吾 医師です。ダニが媒介する感染症にはどのようなものがあるのでしょうか。
鳥取県立中央病院感染症総合内科 椋田権吾 医師
「ツツガムシ病と、日本紅斑熱とアルファベットの略称でSFTSというウイルスの病気、その3種類を考えるべきだと思います。共通する部分としては、熱が出て、体がだるくなって食欲がなくなって。ツツガムシ病と日本紅斑熱は皮疹といって、皮膚にぶつぶつが出ることが典型的です。SFTSの場合は患者さんによるんですが意識障害といってぼんやりしちゃったり普段されないような言動が急にみられるという症状が出ることがあります。一番心配なのは命に関わるという部分です」
また、感染するのは人だけではありません。鳥取県は6月に西伯郡でペットのネコがSFTSに感染しその後死んだことを発表。また三重県では感染したネコを治療していた獣医師がSFTSにかかり、6月に亡くなる事例もありました。
鳥取県立中央病院感染症総合内科 椋田権吾 医師
「SFTSを発症した犬・猫から人間にうつることが報告されています。体液を介してうつることが基本とされております。具体的には、血液とか嘔吐・下痢をしている場合は吐しゃ物、下痢の便。体液への曝露、直接触ってしまうことを防ぐことは、非常に重要だと思います」
心当たりのある場合は、早めの受診が大切です。
鳥取県立中央病院感染症総合内科 椋田権吾 医師
「有効な薬剤がSFTSに関しても出てきたというのがこの近年の新しい動きかなと思います。もし患者さん本人や近くの方がこれらの病気を疑われた場合は治療につながるよう医療機関の受診をご検討いただくことが重要だと思います」
このように注意すべきSFTSですが、地域差があるのが特徴です。
こちらは、これまでに全国で報告された患者の数。色が濃いほど報告数が多いのですが、西日本に集中していることが分かり、山陰両県でも十分注意が必要です。
かまれないためのポイントです。
・草むら、やぶに注意すること
・長袖、長ズボン、帽子、手袋、首のタオルなど肌の露出を少なくすること
・マダニを確認しやすい明るい色の服を着ること
・作業の後は入浴して確認すること
わきの下、足の付け根、手首、膝裏、胸の下、頭に特に注意が必要です。
また、ペットを屋外に連れだしたときはダニが付着していないか確認するようにしましょう。
短時間の庭の手入れや農作業でも感染する場合がありますのでなるべく肌を露出しないようお気を付けください。