議案の日付を執行部が改ざんしたとして、沖縄県石垣市議会から不信任決議を受けた中山義隆市長(58)が29日、自動失職した。市選挙管理委員会が通知を受けて50日以内に市長選が行われる。行政区域にある尖閣諸島の領土保全について積極的に発信し、防衛力の南西諸島シフトにも理解を示してきた中山氏が5選に向けて立候補するかどうかが焦点となる。
市は国民健康保険事業特別会計を巡り、昨年度の赤字を補填(ほてん)するための今年度補正予算を5月30日付で専決処分したとする議案を、6月定例会に提出した。処分は地方自治法上、5月末が期限とされる。しかし、実際は6月に入って処分していた。問題視した市議会は今月18日、中山氏の不信任決議案を可決した。
中山氏は市議会で「違法状態の赤字を解消するために決裁した。深くおわびする」と謝罪した。その後、市側に責任があることから議会を解散せず、失職を選択する方針を示していた。
中山氏は自民、公明両党の推薦を受けて2010年に初当選し、4期目だった。次期市長選で自民党は中山氏を軸に候補者選考を進めている。県内では玉城デニー知事を支える「オール沖縄」系首長が全11市でゼロの状態が続いており、擁立に向けた動きが注目される。