震度1以上の地震が先月21日以降、1500回以上起きている鹿児島県十島(としま)村。同村の悪石島(あくせきじま)では6日午後も、震度5強の地震を2度続けて観測した。昼夜問わず発生する揺れに住民らの心身の疲労はピークに達しており、同日には悪石島と小宝(こだから)島(じま)から、島外避難の第2陣となる計46人が鹿児島市に到着した。
ただ両島では地震による人的被害はなく、6日の悪石島の地震でも島に残る住民ら20人余りの全員の無事を確認した。十島村の久保源一郎村長は現在の状況について「特殊な災害」と表現。まだ「全島避難」を検討する段階ではないとしつつ、「終わりが見えないことが一番不安。いつまで避難させるのか判断の基準がなく迷っている」と苦悩を明かした。
3日に震度6弱を観測した悪石島では、道路の一部に亀裂が入るなどしたが、ライフラインの損傷はなく、日常生活への支障はない。
それでも、打ち続く揺れに睡眠不足や心労を訴える人が少なくない。このため村は、1週間程度をめどに希望者の島外避難を支援しているが、地震活動の収束の兆しは見えず、現在の避難の仕方を継続するのか、続けるとしていつまでの期間とするか、行政も難しい判断を迫られている。
十島村では令和2年の台風時や、3年に悪石島で震度5強を観測した際も島外避難を実施したが、いずれも希望者を対象とし、今回の一連の地震対応でも、一律に避難を求める全島避難の指示には至っていない。
会見で全島避難への考えを問われた久保村長は「(島で)暮らしていけないという大きな災害は発生しておらず、(全島避難の)指示という強い段階ではない」との認識を示し、指示を出すのは「最悪の状況」に限ると説明した。
全島避難を巡っては平成27年、鹿児島県屋久島町の口永良部島で爆発的噴火が発生し、噴火警戒レベルが「避難」の5に引き上げられたことを受け、島内にいた137人全員が海上保安庁の巡視船や県の防災ヘリなどで屋久島へ避難。国内では平成12年の三宅島噴火以来の全島避難となった。