“学歴詐称”疑惑をめぐり、市長辞任、そして出直し選挙への出馬を表明した静岡県伊東市の田久保真紀市長。7月7日の記者会見は、世間の注目を集めた。
【写真】田久保市長が着用していた、あまりに不釣り合いな「ピンク色のジャケット」
プロフィールで「東洋大学卒業」としていた学歴を「除籍だ」と指摘する投書を、一度は「怪文書」と退けたが、この日は「事実」と認める展開に──しかし、その内容もさながら、会見でひときわ目を引いたのは、彼女が着用していた「ピンク色のジャケット」だった。
ピンク色のジャケットから伝わること
世間の厳しい目が集まる記者会見において、彼女がピンク色のジャケットを選んだ判断は、会見の内容と同じくらい、強烈な違和感を抱かせた。
田久保市長は、これまでの公務では黒色のジャケットを着用することが多かった。その彼女が、学歴の信頼性を問われる謝罪会見という場面で、あえてピンク色を選んだのだ。
ピンクは、柔らかさや親しみやすさといったイメージを与える一方で、責任感を求められる場には不向きな色である。心理学では、ピンクは「庇護を求める態度」や「依存的な心理傾向」と結びつく色とされている。そのため、視覚的には主体性の希薄さを想起させやすい。
説明責任を求められる場面や公的な発言の場では、そうした印象が信頼や説得力を損ね、自己保身的な姿勢として受け取られる危険性がある。
中でも特に、田久保市長が着用していた明るいピンク色は、可愛らしさや無邪気さ、無害性といった印象を与えやすい。
説明責任が求められる場では、「問題に真正面から向き合う意思」や「責任の重みを明確に示す姿勢」といった、場にふさわしい視覚的メッセージとは真逆の印象を生みやすい。
危機対応の場においては、個人の気分や好みよりも、その場が求める空気との調和を優先すべきである。視覚的に軽い印象を与える装いは、それだけで発言の重みや真剣さを希薄にしてしまう危険性がある。
さらに会見では、肝心の説明責任の中核となる「卒業証書の提示」はなされず、それでもその“卒業証書”について「私の中では本物」や「入手した記憶が曖昧」といった発言が繰り返された。
その中で、明るいピンク色のジャケットに身を包み、視線を正面に向けて辞意や再出発の意志を語る、田久保市長。
場の空気や説明責任の深刻さに対して、視覚的にも言語的にも緊張感が欠けているように映った。
服の色が「発言の重み」を左右する