今夏の高温少雨の影響はコメ以外の農作物にも及んでいる。果物がうまく育たず、家畜が死ぬ被害も出ている。猛暑は年々厳しさを増しており、農業関係者は「来年以降も見据えた対策が必要だ」と危機感を募らせる。(福島支局 山本純哉、新潟支局 大竹弘晃)
2日午前5時過ぎ、福島市小田のモモ畑で果樹農家の太田惣市さん(44)が人気品種「あかつき」の収穫を始めた。熟度などを確かめながらもぎ取ると、「例年と比べて白っぽいモモが多い」とこぼした。
今年は高温で生育が1週間ほど遅れ、色づきも例年に比べて良くないという。雨不足で小ぶりのものが多く、大玉を注文した顧客には変更を勧めている。一緒に収穫していた父の与一さん(76)は「モモも完全に夏バテだ」と諦め顔だった。
福島市のJAふくしま未来によると、高温少雨の影響でモモは果実が大きくならず、収穫量が減少する可能性がある。着色の遅れも目立ち、高温で果肉が茶色に変色する「みつ症」の被害も出ている。
JAの担当者は「高温少雨が当たり前になる恐れもある。農家にかん水施設を導入してもらうなど、来年以降を見据えた対策も呼びかけなければならない」と語気を強める。
山形県でも、リンゴやブドウの果実が日焼けしたり、生育不良が起きたりしており、収穫量の減少が懸念されている。
影響は酪農にも及んでいる。新潟県では、連日の猛暑で家畜が死ぬ被害が出始めており、県によると、7月23日時点で鶏約5500羽、牛3頭が死んだことが確認された。
新潟市秋葉区で牛約40頭を飼育する酪農家、中沢和明さん(30)は「人間と同じように、牛も暑さが続くとバテてしまう」と頭を抱える。昨夏は、中沢さんの牛舎でも暑さが原因で7頭が死んだ。牛は気温25度以上になるとストレスを感じ始め、食欲が落ちてやせ細っていくという。
今年は、5年ほど前に設置したミスト付きの大型扇風機に加え、新たにシャワー状の水が自動で散布される装置を導入。これまで被害は出ていないが、暑さが続けば牛が妊娠しづらくなって頭数が減少し、搾乳量が減る恐れもある。中沢さんは「一刻も早く暑さが引いてほしい」と願っていた。