近づく「被爆者なき時代」、AIやVR活用し被爆体験を継承…伝承者養成も進む

広島は6日、80回目の原爆忌を迎え、広島市中区の平和記念公園で平和記念式典(原爆死没者慰霊式・平和祈念式)が営まれた。
被爆者の高齢化が進み、「被爆者なき時代」が現実味を帯びる中、体験の継承が急務となっている。広島市では、人工知能(AI)や仮想現実(VR)の活用も試みられている。
市は昨年度から、AIを用いて被爆者と疑似対話できる「被爆証言応答装置」の研究を始めている。被爆者の協力を得て、証言を集めたデータベースを構築。装置に向かって利用者が質問すると、AIがデータベースから適切な回答を選び出し、被爆者との会話を体感できるシステムの構築を目指している。
被爆証言や写真を基に、VRゴーグルで被爆直後から復興を遂げるまでの広島の街を再現した映像が見られる装置の貸し出しも昨年8月から始めた。被爆の実相を視覚的に伝える狙いがある。
市では被爆者から聞き取った体験を原稿にまとめ、代わりに体験を証言する「被爆体験伝承者」の養成も2012年度から進めており、現在は250人が広島平和記念資料館や学校で証言活動をしている。