読売新聞社、「記事無断利用」生成AI企業を提訴…日本の大手報道機関で初

生成AI(人工知能)を使った検索サービスを提供する米新興企業パープレキシティが、同サービスに読売新聞の記事を無断で利用しているとして、読売新聞東京本社、大阪本社、西部本社の3社は7日、同社に記事の利用差し止めと計約21億6800万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。生成AIによる新聞記事などの著作物の無断利用を巡り、米国や欧州で生成AI事業者に対する訴訟が相次ぐ中、日本国内の大手報道機関による提訴は初めて。
損害賠償21億円請求

同社は2022年に設立され、利用者が質問を入力すると、インターネット上の最新情報を基に文章と画像で回答を提供するサービスを展開する。従来の検索エンジンが、検索用語に関連するウェブサイトを一覧で表示するのと異なり、ネット情報を要約するなどして回答を作成するため、利用者が個別のサイトを見なくても知りたい情報を入手できる「回答エンジン」を売り文句にしている。
読売新聞社は訴状で、パープレキシティが読売新聞オンライン(YOL)の記事の情報を取得して複製し、記事に類似した内容の回答を利用者に送信することで、著作権法上の複製権と公衆送信権を侵害していると主張。同社に対して、記事の複製の差し止めと複製済みの記事の削除などを求めている。
また、従来の検索エンジンは利用者にYOLへの訪問を促し、広告収入をもたらすのに対し、同社のサービスだと、YOLを訪問する利用者が減り、広告収入の減少につながっているとして、営業上の利益を侵害する不法行為に当たるとも主張している。
生成AI(人工知能)を使った検索サービスで読売新聞の記事や画像を無断で利用しているとして、読売新聞東京本社、大阪本社、西部本社の3社は7日、米新興企業パープレキシティを相手取り、記事の利用差し止めと計約21億6800万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。生成AIによる著作物の無断利用を巡り、欧米でAI事業者に対する訴訟が相次ぐ中、日本国内の大手報道機関による提訴は初めて。
パープレキシティは2022年に設立され、利用者が質問を入力すると、インターネット上の最新情報を基に回答するサービスを展開する。従来の検索エンジンが、検索用語に関連するウェブサイトを一覧で表示するのと異なり、ネット情報を要約して提示するため、個別のサイトを見ずに知りたい情報を入手できる「回答エンジン」を売り文句にしている。
読売新聞社は訴状で、パープレキシティが読売新聞オンライン(YOL)の記事を複製し、記事に類似した回答を送信することで、著作権法上の複製権と公衆送信権を侵害していると主張。同社が回答作成のために無断で取得した記事の本数は、今年2~6月に11万9467本に上るといい、1本当たりの損害額は、通常の利用許諾料を踏まえ、1万6500円と算定した。今後の調査で請求額はさらに増える可能性があるとしている。
また、従来の検索エンジンは利用者にYOLへの訪問を促し、広告収入をもたらすのに対し、同社のサービスだとYOLへの訪問が減り、広告収入を減少させているとして、営業上の利益の侵害にも当たると主張している。読売新聞社は約2500人の記者が取材にあたっており、「多大な労力と費用をかけた報道機関の活動の成果にただ乗りしている」と指摘。広告収入の減少分の損害賠償も求めている。
パープレキシティを巡っては、米ニューズ・コープ傘下のダウ・ジョーンズなど2社が昨年10月、ニューヨーク州の連邦地裁に著作権侵害訴訟を起こし、係争中。パープレキシティは同訴訟で、「検索機能は、著作権法で保護されていない公開された事実情報に基づいている」と反論している。
読売新聞グループ本社広報部の話「取材の成果へのただ乗りを許せば、取材に裏付けられた正確な報道に負の影響をもたらし、民主主義の基盤を揺るがしかねない。訴訟を通じ、急速に普及する生成AIの規律や利活用のあり方を問いたい」