自民総裁選に地方前向き「責任を取らないというバカな話はない」…宮崎県連は早くも賛成決定

自民党が両院議員総会で臨時総裁選を検討する異例の決定をしたことを受け、地方組織がさっそく動き始めた。宮崎県連は9日、総裁選前倒しへの賛成を決めた。他の都道府県連の幹部の間でも賛同する意見が目立っている。(中山潤、宮崎支局 波多江航)
宮崎県連の賛成方針は宮崎市内で開いた総務会で決定された。県連会長代行の古川禎久・元法相は会合後の記者会見で「存亡の危機にある党の本格的な再起に向け、総裁選をやるべきだと賛同が得られた」と明らかにした。佐賀県連は意見集約に向けて検討に入った。山梨県連の会合では、所属国会議員が8日の両院議員総会の報告を行った。
総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は今月中旬以降に前倒し実施への賛否を確認する方法や時期を定める。対象は党所属国会議員295人と都道府県連代表47人で、過半数の172人が賛同すれば、石破首相の総裁任期満了(2027年9月末)を待たずに、総裁選が行われることになる。
大半の地方組織は今後、協議を本格化させるが、幹部への取材では臨時総裁選に前向きな反応が相次いだ。埼玉県連会長の柴山昌彦・元文部科学相は「執行部がこのままでよいか、党員を含めけじめをつけたほうがよい」と述べた。栃木県連幹事長の木村好文県議も「前倒しは当たり前だ。責任を取らないというバカな話はない」と主張した。
静岡、千葉、沖縄の各県連幹部からも「体制を早く変えるべきだ」「首相も含めて総裁選をやるのも一つの手だ」といった見解が示された。
一方、首相が会長を務める鳥取県連の上杉栄一副会長(鳥取市議)は「前倒しには反対だ。有権者からはコップの中の争いにしか見えない」と訴えた。青森県連会長の津島淳衆院議員は早期の前倒し決定には慎重で、「総括し、責任を明確にした上で総裁選をやるべきだ」と述べた。
臨時総裁選を規定する党則6条4項に基づく作業は前例がなく、戸惑いの声も出ている。神奈川県連幹事長の梅沢裕之県議は「党本部に詳細な説明を早急に求めたい」と語った。逢沢氏は9日、X(旧ツイッター)に「賛否の確認方法などを厳正、慎重に検討し、準備を進める」と書き込んだ。
地方組織の動向は、国会議員の判断にも影響を与える可能性が高く、今後の展開が注目される。