’25年7月に行われた参議院議員選挙では、自民党・公明党が過半数割れで敗北。なかでも「日本人ファースト」を標榜、多くの有権者の“違和感”に火をつけた参政党が躍進した。同党に共鳴し、政治への“目覚め”を語り出した人々の素顔に迫る。 ◆有権者の心をんだ「反緊縮」「さや」候補 “目覚めた”人々が参政党に共鳴した背景には、移民やジェンダー問題だけでなく、経済的救済への渇望もある。 政治経済評論家の池戸万作氏は、同党の躍進を「反緊縮の明快な訴えと、それを体現する候補者の存在」と分析。中でも神谷宗幣代表の国債発行を堂々と主張する姿勢は、政治家として異例だと語る。 「日本の国債残高は1000兆円を超えているといわれますが、これは国際的に見ても突出しているわけではありません。30年間、まともに財政出動してこなかったツケが今、インフラの老朽化や貧困の拡大という形で表れているんです」 そして、こうした反緊縮の訴えが特に響いたのが「就職氷河期世代」を中心とした生活困窮層や中高年層だったと分析する。 「“国がお金を出して助ける”というメッセージは、それこそ彼らに届いた“愛情”だったのではないでしょうか」 ◆さや氏擁立の東京選挙区は「全国的な知名度」にも影響大 もう一つ、戦略で極めて成功したと見るのが、東京選挙区に擁立されたさや氏の存在だ。 「彼女も就職氷河期世代。そして東京選挙区は全国から注目を集めやすい特別な舞台です。そこに“捨てられた世代”を代弁できる候補を送り込んだことで、感情的共感の獲得と全国的な認知度の引き上げに成功した。結果的に、40~50代の男性の票を一番取ったんです」 たとえ議席を得ても、財政政策の主導権は財務省にあるため変革は容易ではないが……。 「財政法や財務省設置法を変えるには、相当な政治的意思と戦略が必要です。ただ、声を上げる勢力が増えれば、霞が関も無視できなくなるでしょう」 参政党の台頭は、一過性のブームなどではなく、数十年かけて蓄積された“怨念”や“閉塞感”の結実と見られるのかもしれない。 ◆辛酸を舐め続けた氷河期世代の鬱憤が“覚醒”に昇華! 参政党を筆頭に右派系議員が躍進を遂げた今回の選挙だが、SNSや街頭では“右派的な共感”を語る人の姿が、目に見えて増えはじめている。 北関東の自治体で非常勤職員として働く深山俊さん(仮名・48歳)、もその一人だ。 現在の職を得るまで、20年以上にわたり非正規雇用の不安定な立場に甘んじてきた。就職氷河期に大学を卒業し、最初に就いたのは自動車工場での期間工。