臨時教員採用で「わいせつ処分歴」確認せず、埼玉県教委が謝罪…義務化後の8907人分「認識甘かった」

埼玉県教育委員会は12日、臨時教員らの採用時に、わいせつ行為で処分歴のある教員情報を蓄積した国のデータベース(DB)の確認を怠っていたと発表した。採用時のDB確認は2023年度に法律で義務付けられたが、23年度以降に採用した臨時教員らのうち、約6割にあたる8907人を確認していなかったという。
県教委小中学校人事課の新保友・学校管理幹はこの日の記者会見で、「DBでの確認が義務であるという認識が甘かった」と謝罪。今後は法律に基づく採用手続きを徹底するとした。8907人について改めて確認したところ、全員に処分歴はなかったという。
県教委によると、DB確認が義務づけられた23年4月から今年7月17日までに採用した臨時教員、非常勤講師、実習助手、寄宿舎指導員らは計1万3861人。県内4か所の教育事務所や県教委県立学校人事課が採用事務を担当している。同期間に正規採用した教員については、全員をDBで確認したという。
教員が懲戒免職になると、教員の氏名や失効となった教員免許の種類などが官報に掲載される。文部科学省はこの情報を集約した「官報情報検索ツール」を各教委に提供している。臨時教員らについて、県教委は検索ツールで確認したものの、DBでの確認は実施していなかったという。
この問題を巡っては、名古屋市や北海道などの教委がDBを確認していなかったことが判明。県教委でも調査を進めていた。文科省は今月、全国の教委や学校法人などを対象にDB活用の実態調査を始めた。