石破総理はあす、終戦の日に合わせた戦後80年の総理談話の発表を見送る方針です。その背景には、いま石破総理が党内で置かれている苦しい立場も関係しているようです。
あす迎える終戦の日。都内では、戦争の記憶を次の世代に伝える催しに多くの人が訪れていました。
50代男性 「私もそうですけれども、やっぱり豊かな時代に育っている。戦争時代のつらかった話とか、聞く機会は減ってきているのかな」
小学5年生 「昔の兵隊さんの皆さんがどういう気持ちとか、家族がどういう気持ちで兵隊さんの無事を願っていたとかが、やっぱり心にしみて伝わりました。戦争はやっぱりせずに、みんなで平和に暮らしていくべきだと思います」
過去の戦争を振り返り、未来へどう伝えていくか。政府はこれまで、終戦の日に合わせ、「総理談話」という形で見解を示してきました。
総理談話とは、国の重要な事柄に関する総理の公式見解のこと。閣議決定して発表されます。戦後をめぐる総理談話を初めて閣議決定したのは、1995年、村山総理の時です。
村山富市総理(当時) 「痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気持ちを表明いたします」
先の大戦への「反省」と「おわび」。それは、戦後60年、70年の談話でも引き継がれてきました。
戦後80年の節目を迎える今年。石破総理は…
石破総理 「形式はともかくとして、この風化というものをさけるために、そして、戦争というものを二度と起こさないためのそういうような発出というものは、私は必要だと思っています」
こう話すものの、総理談話の発出は見送り、個人的な見解を出すことにとどめる見通しです。
見送る要因の一つが、党内からの反発です。特に、当時の安倍総理が出した70年談話を“上書きするのではないか”という懸念があがっているのです。
安倍晋三総理(当時) 「あの戦争に何ら関わりのない私たちの子や孫、そして、その先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
自民党 保守系議員 「安倍総理の70年談話で、次の世代に謝罪させることをやめようとなった。10年ごとに出す必要はない」
関係者によりますと、石破総理は周囲に対し、70年談話の歴史認識を“上書きするつもりはない”という意向を示しているということです。
では、どのようなメッセージを出そうとしているのでしょうか。被爆地・広島でおこなった会見で、その一端を明かしていました。
石破総理 「どうすれば戦争が起こらないのかということを50・60・70年談話を踏まえました上で、私として考えてまいりたい」
今後、どのような形式でいつ公表するか、検討を進めることにしています。