自治体の判断で市街地にいるクマに発砲する緊急銃猟を可能にする改正鳥獣保護管理法が9月に施行される。
これまでは人に具体的な危険が迫った段階で警察官がハンターに発砲を命令してきたが、クマが人の生活圏に侵入するなどした際、自治体は発砲をハンターに委託する形で緊急銃猟を実施できるようになり、迅速な対応が期待される。
クマ出没が続発する新潟県新発田市では今月25日、市、警察、地元の猟友会などが合同で訓練を行い、交通規制、住民避難、銃猟という一連の流れを確認する。実施条件には銃猟で人に危害が及ばないことも含まれ、市担当者は「訓練はイメージをつかむことが目的だが、住民に安全確保の行動を促せるか不安だ」と話す。
山梨県富士吉田市では、外国人ら観光客に人気の新倉山浅間公園の周辺でクマの目撃情報が相次いだ。市担当者は交通規制に従わない人が出る懸念もあるとし「どこまで強制力を発揮できるのか」と頭を悩ませる。
栃木県那須塩原市の担当者はクマが動くことで状況が刻一刻と変わり、警察と自治体のどちらの権限で発砲するか判断が難しいケースもあり得ると指摘。「警察と十分なすり合わせが必要になる」と話した。(本田賢一、平尾孝、伊沢利幸)