反ワクチン陰謀論者たちの政治活動では、排外主義が大ブーム【参政党の原点「陰謀論」の最前線】#1

【参政党の原点「陰謀論」の最前線】#1
7月の参院選では「日本人ファースト」がキャッチコピーの参政党が14議席を獲得し、勢力を拡大した。排外主義的な主張は選挙前から批判されていたが、躍進した。
参政党のやっていることは、2020年の結党当初から怪しかった。陰謀論、スピリチュアル、オカルト、偽歴史、マルチ商法。さらには、保守系団体「日本会議」に連なる神谷宗幣代表の人脈も指摘されてきた。過去の選挙では、政治やメディアが「ユダヤ国際金融資本」に支配されているとする陰謀論や、反ワクチンを主張。昨年末に「日本をなめるな」、今春には「これ以上、日本を壊すな」と訴え、参院選では「日本人ファースト」を押し出し、排外主義をあからさまにするようになった。
陰謀論やオカルトに詳しいライターの雨宮純氏は、こう見る。
「参政党が国政政党となったのは2022年ですが、その時点で既に日本の伝統を重んじ反グローバリズムを掲げる、ナショナリズムの強い政党でした。そして、結党前から神谷氏が関わってきた人脈の中には、たとえば縄文時代からの日本人の精神性の高さを強調するような、スピリチュアルと接近した保守派もいます。神谷氏が中心となって10年に発足させた『龍馬プロジェクト』も、独特の歴史観を主張する人物が主宰する保守団体関係者と始めたものです」
排外主義とまでいかなくとも、「日本の歴史や伝統」を勝手に設定し、持論に権威付けをするのは「スピリチュアル・オカルトあるある」だ。
「参政党に限らず、オカルトやスピリチュアル、陰謀論が政治に利用されることは珍しくありません。反ワクチン運動もそのひとつ。参院選では参政党以外にもさまざまな反ワク陰謀論の政治団体が候補者を擁立していました。全員落選でしたが」(雨宮純氏)
代表例が反ワク医師の内海聡氏が代表を務める「無所属連合」。公認候補には、過去に参政党から出馬した人物もいた。
もうひとつは、参政党共同代表だった歯科医の吉野敏明氏が設立した「日本誠真会」だ。公認候補の弁護士は、新型コロナワクチン接種会場に押し入った「神真都Q」の顧問で、逮捕者の弁護人でもあった。埼玉県内でクルド人ヘイトをまき散らす元祖「日本保守党」の石濱哲信氏も反ワク団体の集会に参加している。
これらの政治団体すべてが内容や程度の差こそあれ、排外主義的な主張を展開した。反ワク陰謀論者たちの政治運動ではいま、排外主義が大ブームなのだ。なぜこんなことになったのか。次回、ここ1年ほどの流れを振り返る。 (つづく)
(藤倉善郎/ジャーナリスト)