消防の同志へ「思い無駄にしない」 府外の消防士も献花に、市民からは感謝の声

大阪市中央区の繁華街・道頓堀で消防隊員2人が犠牲となったビル火災で、現場付近に設けられた献花台には20日も朝から大勢の人が訪れ、花を供えるなどして犠牲になった2人を悼んだ。大阪市消防局の関係者だけでなく、大阪府外の消防隊員も駆けつけ、市民らも日頃の懸命の消防活動に感謝の意を示していた。
「危険な現場と分かった上で建物内に踏み込んでいったはず。ひとごとと思えない」。京都市消防局の男性(41)は現場に向かって静かに手を合わせた。
「消防の同志だ」という思いで、大阪まで足を運んだという男性。犠牲となった長友光成さん(22)と年の近い後輩がおり、「人命救助は大事だが、後輩の命を預かる立場だと自覚させられた。犠牲となった2人の思いを無駄にはしない」と誓った。
奈良県内の男性消防隊員(36)は「ビル火災は改めて怖いと痛感した。気を引き締めたい」と語った。壁面全体が黒色に変色した現場ビル2棟を前に、「中に踏み込めるかどうか判断に迷う場面はある。2人は正義感が強い人たちだと思う」と思いを寄せた。
現場近くの献花台には人の姿が絶えず、花束のほか、冷たい飲み物を供えて感謝を口にする市民も。大阪市中央区の遠藤綾子さん(62)は「短時間に2棟も燃えたのに、一般人の犠牲はなかった。亡くなった2人に感謝の気持ちを伝えたかった」と話した。
同市淀川区の会社員の男性(32)は「きっとビル内はとても暑く、苦しい思いをされたと思う。安らかに眠ってもらいたい」といい、献花台に凍ったペットボトルを供えた。同市東淀川区の男性(59)は「火災に限らず、地震や豪雨でも救助活動をしてこられたのだと思う。敬意を表したい」と話し、献花していた。