大阪ミナミの繁華街・道頓堀で消防隊員2人が犠牲になったビル火災で、現場ビル2棟のうち6階建てビル南側の屋外に設置された空調用の室外機付近が激しく燃えていたことが21日、捜査関係者への取材で分かった。大阪市消防局は外壁に設置されていた装飾広告を伝って上方に延焼したと推定。装飾広告の介在によって隣接する7階建てビルにも一気に火が燃え移り、隊員の逃げ遅れにつながった可能性がある。
室外機は6階建てビル1階の屋外に設置され、すぐ近くに装飾広告があった。大阪府警は室外機周辺が出火元の可能性があるとみて捜査。付近にはごみのような燃えかすもあったという。市消防局は、装飾広告の火が隣接する7階建てビルの5階部分の窓ガラスを焼損し、そこから建物内に延焼したとみている。
市によると、6階建てビルの外壁に設置されていた洋菓子の装飾広告は縦約8・6メートル、横約4・2メートル。建築基準法では、現場のような防火地域内で高さ3メートル以上の看板を設ける場合、主要部分を不燃材料でつくることが義務付けられており、府警や消防は広告に使用された素材が適切だったかどうかも調べる。
火災は18日午前に発生。7階建てビルで消火活動にあたっていた浪速消防署の消防司令、森貴志さん(55)と消防士、長友光成さん(22)が6階部分に取り残され、搬送先で死亡が確認された。死因はいずれも窒息死だった。活動中に5階の天井部分が崩落し、退路がふさがれたとみられる。
ビルは鉄筋コンクリート造で床や壁といった主要構造部に崩落はないが、内装に木材などが使用されており、天井材が焼け落ちた可能性があるという。