世界で初めてアドレナリンの抽出・結晶化に成功したことで知られる富山県高岡市生まれの化学者、高峰譲吉(1854~1922年)が米国で別邸として使っていた「松楓殿(しょうふうでん)」の壁画や天井画約40点が、所有者から同市に譲渡されることになった。同市はこの壁画などを利用し、同市丸の内の高岡商工ビル1階に松楓殿を再現する方針だ。
松楓殿は1904年に米セントルイスで開催された万国博覧会に「鳳凰(ほうおう)殿」として出展された。翌年、高峰は日米親善の社交場にしようと、これをニューヨーク州に移築。寝殿造りで、金箔(きんぱく)地に洋画家の牧野克次による松と楓(かえで)の油絵が描かれていたことから、松楓殿と名付けられた。
松楓殿は、2002年から繊維商社「タキヒヨー」(名古屋市)名誉顧問でNPO法人「高峰譲吉博士研究会」副理事長の滝富夫さんが所有。滝さんは高峰の生まれ故郷である高岡に返還したいとの思いがあり、高岡市や高岡商工会議所と協議を重ね、無償譲渡することになった。
同市の担当者は「高峰博士の功績を後世に伝えるとともに、子どもたちには博士を目指して活躍してほしい」と再現に込める思いを話している。同市では整備費用の寄付を集めており、集まり次第、着工する。寄付などの問い合わせは同市都市経営課(0766・20・1226)。【高良駿輔】