ブラックホール構造解明に貢献・京大名誉教授の佐藤文隆さん死去、87歳…湯川秀樹博士の孫弟子

ブラックホールの研究で業績を上げた日本を代表する理論物理学者で、京都大名誉教授の佐藤文隆(さとう・ふみたか)氏が14日、細菌性肺炎で死去した。87歳だった。告別式は近親者で済ませた。喪主は長男、理郎(りろう)氏。
山形県出身で、京大理学部を卒業。日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士の孫弟子にあたり、京大基礎物理学研究所長、京大教授、理学部長などを歴任した。京大を退官後は甲南大教授も務めた。
アインシュタインの一般相対性理論の研究を踏まえ、冨松彰・名古屋大名誉教授とともに実体が不明なブラックホールの構造解明につながる「冨松・佐藤解」を1972年に発表。物理学界で大きな反響を呼んだ。
日本物理学会長、湯川記念財団理事長などとして日本の物理学の発展に貢献し、科学と社会の関わりなどを説明した一般向けの教養書を数多く執筆したことでも知られる。73年に仁科記念賞、99年に紫綬褒章、2013年に瑞宝中綬章を受けた。