【Facebook“突然の友達申請”に注意】AI詐欺師と“1か月弱やりとり”したピアニストが語る最新手口。「障害ある娘を持つ父親同士」という“絆”を悪用

無慈悲に、そして無尽蔵にあらゆる場所から金をむしり取る、AIを使った詐欺事件。国連広報センターや外務書なども盛んに注意を呼びかけている。 以前、筆者が取材をしたDAKOKU氏。生まれつきの障害を持つ娘を亡くし、同じく障害のある子どもたちが楽しめる音楽空間を創出するために仲間と奮闘するピアニストの彼のXでのポストが目に留まった。在イエメンの日本人男性医師と始まった、一ヶ月以上にわたるFacebookのやり取りが、すべて詐欺への布石だったという。 注意喚起の意味を込めて、その全貌について明かしてくれた。 ◆発端は「イエメン在住の日本人男性医師」からの友達申請 ――Facebookを経由した詐欺未遂と伺いました。端緒はどのようなところからだったのでしょうか。 DAKOKU:「Hiroshi」というイエメン在住の日本人男性医師を名乗る方から友達申請がきたんです。話を聞いてみると、「イエメンは現在、テロリストとの戦いが続いていて、自分は従軍医師をしている」とのことでした。生命にかかわるお仕事をされている方ということで、敬意を払いました。お互いの話をしていく過程で、私がピアニストをしていることなど、プロフィールにあるようなことは伝えていました。 ――日本語の文法がおかしいなど、不自然な点はありませんでしたか。 DAKOKU:ありましたよ。率直に、「AIか何かで書いていませんか?」と聞きました。すると相手は、「アメリカでの生活も長かったので、自分が言いたいことをAIに書いてもらっている」と認めました。少なくともネイティブな日本人が書いていないことはわかりましたが、AIが書いたと言われれば「そうなのかな」と思うようなレベルの日本語ではありました。 ◆やり取りを重ねるうちに絆が生まれる ――相手は当然、DAKOKUさんの個人情報を聞こうとするわけですよね。 DAKOKU:はい、最終的には。ただ、拙速に進めることはなくて、最初の数週間は「音楽をやる目的はどのようなことですか」というような、私の活動の根源に迫る質問が多く、私自身や活動内容に興味を抱いてくれているように感じました。 ――一ヶ月以上もの間、やり取りを続けるに至った理由は何だとご自身では思いますか。 DAKOKU:1つは、共感があったことでしょうね。最初の1~2週間は、お互いの自己紹介のような形で、ゆっくりと知り合いました。以前黒島さんに取材をしていただいたときにお伝えしたように、私は障害のある15歳の娘を亡くしました。私がいま、障害のある子どもが楽しめる音楽を作ろうと没頭しているのは、心のなかで亡き娘に出会うためでもあるんです。そのような話をHiroshiさんに打ち明けると、彼は「自分は15歳の娘がいて、妻とは死別している」と話してくれたんです。