国内最古の「浪速少年院」 非行からの更生支えた100年 記者ノートfrom湊町

保護処分を受けた非行少年らを収容する「少年院」。少年らの犯罪傾向の矯正や生活指導、出院後の就職に向けた職業指導などを行っている。100年以上の歴史がある国内最古の少年院を、今年6月に見学する機会があった。
大阪府茨木市の市街地からやや離れた場所にある「浪速少年院」。大正12年に建てられ、心身に障害がない約80人が集団で生活する。年齢は16~18歳が中心だ。
少年院が特に力を入れているのが矯正教育だ。違法薬物の使用や交友関係、暴力といった少年それぞれが抱える問題に合わせた約1年間の教育プログラムなどを実施。そのほかにも地元業者らの指導で電気工事やクリーニングなどの資格やパソコン技術を身に付けられるといい、充実した指導環境に驚かされた。
こうした教育を受け、規律正しい生活を送り、更生に努めていても、一歩外に出れば「少年院出身」との厳しい目が向けられることも少なくない。出院後も家族や周囲の支援を受けられないまま再非行に走る少年もおり、職員は「家庭環境が原因にならないよう保護者との関係構築にも取り組んでいる」と話していた。
「ただ非行をやめさせるために指導するだけでなく、少年一人一人の背景事情に寄り添い『立ち直り』をサポートする」。約2時間の見学で、少年院のそんな役割を実感することができた。少年らが二度と罪を犯さないことを願い、これからも更生の現場を取材していきたい。(喜田あゆみ)