強毒「ヒアリ」発見件数が過去最多を更新 新潟港で今年27件目 全国20都道府県に拡大

環境省は2日までに、南米原産の特定外来生物で強毒を持つヒアリの生息が新潟港(新潟市)で確認され、全国での今年の累計発見件数が計27件と過去最多になったと発表した。新潟県での発見は初めてで、全国20都道府県に拡大した。
これまでは平成29年の計26件が最多だった。発見件数は30~令和3年まで年間20件以内で推移し、4年には8件と減少したものの、5年は19件、6年は24件と増加していた。
ヒアリは国内では平成29年6月に初めて確認され、累計件数では162件目となった。
同省は毎年春から秋にかけて、ヒアリが分布する国・地域と定期コンテナ航路がある全国65港湾を調査している。
今年発見された計27件のうち500匹を超える主な事例は、横浜港本牧ふ頭(横浜市)約550匹千葉県柏市の事業者敷地約500匹東京港大井ふ頭(東京都品川区)約600匹横浜港山下ふ頭(横浜市)2000匹以上伏木富山港(富山県射水市)1000匹以上東京港青海ふ頭(東京都江東区)約570匹名古屋港鍋田ふ頭(愛知県弥富市)1000匹以上。
新潟港では9月26日、コンテナヤードの上でヒアリと疑わしい約20匹が舗装の継ぎ目から出入りしているのを調査員が発見。後日、専門家がヒアリと確認した。
同省は「関係機関と連携し、国内定着を防ぐために徹底した水際対策を講じていく」とした。過去最多を更新した背景については「今後分析していく」(担当者)としている。
ヒアリは南米原産の特定外来生物。刺されると「熱いような激しい痛み」を覚え、赤みが出てきて膿がたまったような症状が現れる。アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」により、息苦しさや激しい動悸(どうき)やめまい、腹痛のほか、血圧が急低下して意識を失うなど、重症化して生命にかかわるケースもある。