東京都目黒区で2018年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死と傷害罪などに問われた父親の雄大被告(34)に対し、検察側は7日、東京地裁(守下実裁判長)の裁判員裁判で「苛烈な虐待で、被害結果は重大。責任は比類なく重い」として懲役18年を求刑した。公判は結審し、判決は15日。
検察側は論告で「(結愛ちゃんへの暴力は)しつけ目的を逸脱している。どれほどの苦痛で死に至ったか、察するに余りある。暴力による恐怖もすさまじかったはずだ」と指摘した。
公判で検察側は、雄大被告が、母親の優里被告(27)=1審懲役8年=との間に実子の長男が生まれた16年秋以降、血がつながっていない結愛ちゃんに対する明らかな暴力を始めたと指摘した。
一家が目黒区で暮らすようになった18年1月からは、食事や外出を厳しく制限。「息が苦しくなるまで運動する」など困難な課題を与え、達成できないとベランダに立たせたり、水温10度を下回るシャワーを浴びせたりしたとした。
2月下旬には顔が腫れるほどの暴力を振るって、結愛ちゃんは極度に衰弱。嘔吐(おうと)を繰り返したが、虐待の発覚を恐れた雄大被告と優里被告が病院に連れて行かなかったため、結愛ちゃんは3月2日に肺炎による敗血症で死亡したとしている。
雄大被告は起訴内容を大筋で認めつつ、結愛ちゃんの命が危険だと認識したのは亡くなる前日だったとした。弁護側は「理想の子」であってほしいと結愛ちゃんに厳しく接したことが虐待につながったと主張している。
被告人質問で雄大被告は、結愛ちゃんと血がつながっていないことに重圧を感じ「しつけ」に注力したが、「うまくいかず、怒りを感じ、暴力を振るうようになった」と虐待をやめなかった理由を説明。暴力は「全力ではないが、手加減はしていない」ほどにエスカレートしたことも認めた。
結愛ちゃんが生前に書き残した「もうおねがい ゆるしてください」とのメッセージについては「私の機嫌を取るためだけに書かされた。あの子の悲しみ、心の痛みは語り尽くせていない」と述べた。
公判には、優里被告が証人として出廷し「もう結愛と(長男の)息子には近づかないでほしい」と涙ながらに訴えた。【田中理知、巽賢司】