自民党の高市総裁と日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)は20日、国会内で党首会談を行い、連立政権樹立に向けた合意書に署名した。高市氏は21日に召集される臨時国会で第104代首相に指名されることが確実となり、皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て新内閣を発足させる。
両氏は会談後、共同記者会見に臨み、12分野にわたる連立政権合意書を発表した。高市氏は「安定した政治が大事で、大変大きな一歩だ」と強調し、吉村氏は「手を取り合って困難に立ち向かう」と応じた。党首会談には維新の藤田文武共同代表、自民の麻生副総裁や両党の幹事長らも同席した。
合意書では、衆院議員定数(465人)の1割を目標に削減するため、「臨時国会で議員立法案を提出し、成立を目指す」と明記した。災害時などに首都圏機能を代替する維新の看板政策「副首都構想」は、「臨時国会中に協議体を設置し、来年の通常国会で法案を成立させる」とした。原子力潜水艦を念頭に次世代の動力を活用した潜水艦の導入についても「政策を推進する」と盛り込んだ。
両党で隔たりが大きかった企業・団体献金の禁止については、2027年9月までの高市氏の総裁任期中に「結論を得る」とし、臨時国会中に協議体を設置することで折り合った。食品の消費税率0%への引き下げは「2年間に限り対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う」との文言で決着した。自民が先の参院選で公約に掲げた国民1人原則2万円の現金給付は行わない。
党首会談に先立ち、維新は国会内で両院議員総会を開き、石破首相の後継を選ぶ首相指名選挙で高市氏に投票することを決め、高市氏が初めての女性首相に指名される見通しとなった。衆院会派「改革の会」(3人)と「有志の会」の北神圭朗氏も高市氏に投票する方針で、衆院が優先される首相指名選挙は1回目の投票で過半数(233)を上回る見込みとなった。
高市氏は21日夜に内閣を発足させる。維新は国会運営などで与党の枠組みに加わるが、当面は閣僚は出さずに連立政権を支える「閣外協力」となった。維新に閣内での協力を求めていた高市氏は、維新の遠藤敬国会対策委員長を首相補佐官に起用する方向だ。
両党は、政府が22年に策定した安全保障関連3文書改定の前倒しでも合意した。高市氏は首相選出後に前倒しを検討するよう指示し、27日に来日するトランプ米大統領にも伝達する方向で調整している。国家安全保障戦略には防衛費を含む安保関連費を27年度に国内総生産(GDP)比で2%に引き上げることを盛り込んでおり、増額が念頭にあるとみられる。
臨時国会は21日召集
第219臨時国会が21日、召集される。自民党は会期を12月17日までの58日間とし、高市総裁が新首相に選出された場合、所信表明演説を今月24日に行うことを野党に提案している。
今月下旬は、トランプ米大統領との首脳会談など外交日程が立て込んでおり、与野党による代表質問は11月4日以降に行われる見通しだ。自民は今年度補正予算案を12月上旬に提出する方向で調整している。