全国各地でクマが出没し、人が襲われる被害が相次いでいます。実は福岡の隣、山口県でもことし200件近い目撃情報があります。九州でクマと遭遇する危険はないのでしょうか。
■小川ひとみ記者
「クマがいました。おなかいっぱいなのでしょうか、気持ちよさそうに眠っています。」
福岡市動物園で飼育されているのは、ツキノワグマの「ゲンキ」です。つややかな黒い毛と胸元の白い三日月模様が特徴です。
■子ども
「やっぱ、かわいいねえ、クマ。ごはん食べるところ、どこなんだろう。」
2026年2月に19歳を迎えるゲンキは体重105キロ。草や果物、ゆで卵など1日15キロもの餌を食べています。動物園では愛らしい姿を見せるクマ。しかし、野生のクマによる被害は拡大しています。
秋田県では10月だけで25人がクマに襲われ、21日朝も大仙市で、50代の男性が顔をひっかかれるなどして病院に搬送されました。
環境省によりますと、今年度、クマによる死者は21日までに7人に上っていて、過去最多だった2年前を上回り、2006年の統計開始以来、過去最悪となっています。
被害は東北地方にとどまりません。
■住民
「まさか、ここで人を襲うとは思わない。びっくりしますよ。」
広島県北広島町ではことし7月、70代の男性がクマに襲われました。
福岡県と海を隔てて隣り合う山口県でも、ことし200件近いツキノワグマの目撃情報が警察に寄せられています。
2012年に絶滅したとされる九州のツキノワグマ。ただ、ことし13件の目撃情報がある山口県下関市と、福岡県北九州市は最も近いところで650メートルほどしか離れていません。
クマが海を泳いで渡り、九州に上陸する可能性はあるのでしょうか。
■福岡市動物園・廣田淳一飼育第1係長
「海を渡るというのは私もあまり聞いたことがない。簡単に渡ってくるという可能性は低いと思っています。」
九州で野生のクマに遭遇する可能性は、極めて低いということです。
では、本州でキャンプや登山などをする場合は、どうやってクマに気をつければいいのでしょうか。
■廣田飼育第1係長
「まず、そこの状況をしっかりと確認する。クマが出没していることが報告されているか。鈴を付けていく、撃退するスプレーを持参しておく。まずはしっかり準備をする。」
生活圏があいまいになりつつある、ヒトとクマ。
環境省は万が一、クマに至近距離で遭遇したら両腕で顔面や頭部を覆い、すぐにうつ伏せになるなどして致命的なダメージを最小限にとどめるよう呼びかけています。
※FBS福岡放送めんたいワイド2025年10月21日午後5時すぎ放送