「FAXを生まれて初めて見た(笑)」チームみらい・安野貴博が議員になって驚いた国会の実態と首班指名・泉房穂氏からの1票のウラ側…高市政権には何を思うのか?

〈チームみらい・安野貴博氏が“比例議席削減案”に大反対「新人は国会に入れなくなる」…“政治とカネ”問題はテクノロジーで解決に近づける〉から続く
AIエンジニアから国会議員になった「チームみらい」の安野貴博党首。ソフトウェアエンジニアチームとともに、政治問題解決を図るツールの開発にも力を入れている。そんな安野氏が足を踏み入れた国会で見た、驚くべき光景とは…。
【画像】安野貴博氏のパソコンのデスクトップとスマホの画面
「0と1議席はめちゃめちゃめちゃ大きな違い」
――チームみらいは10月に政治家や政党のカネの流れを見える化する「みらいまる見え政治資金」(詳細は#3)というツールに続いて「みらい議会」というツールも発表しましたが、こちらはどういったものなのでしょうか。 安野貴博(以下、同) 国会で今どんな法案が検討されているかをわかりやすく伝えるプラットフォームです。
法案ごとに①審議前か途中なのか、②改正案のポイント、③法改正が必要な理由、④賛否それぞれの意見、⑤改正で影響を受ける可能性のある人・団体、⑥チームみらいのスタンス――を紹介します。
法案の専門用語を平易な表現にし、AIチャットで法案の理解を助け、漢字にすべてルビを振る機能もつけ、わかりやすくしました。
――目指すものは何ですか。 法案に関する情報は、実は国会や有識者会議が公開しています。でもぱっと読んだ限りは、何が論点なのかすぐ分からないんですね。
また、法律が成立したら報道されますが、法案提出から成立までの間を埋める情報があまりにもない。この期間に(国会の外でも)いろいろ議論された方が(そこで出た意見を)修正案に組み込めて一番いいんですね。だから、第1段階でいま何が話し合われているのかを見えるようにしました。
さらに第2段階で、議論されている法案に(ユーザーが)意見を言えるようにし、その意見を基に委員会で質問したり採決の際の賛否の参考にしたりする考えです。
――法案を党の立場で説明すれば 党の評価を反映した バイアスがかかる可能性もありそうですが。 われわれなりの軸で決めるので恣意性は入ってきます。恣意性がないとはまったく主張しません。
ただ報道機関や行政が 法案の評価に恣意性を入れれば 批判を受けますが、政党は恣意性があってもいい。完全に中立であることを求められていないがゆえにこういったプラットフォームをやりやすい。
むしろ政党っていうのはそういうことをやっていくべきだと思っています。それをご覧になった有権者の反応も支持率になって返ってくると思います。
――1議席でも国会に入ったことで、政策の実現に向けて前進した実感はありますか? それはもう。だって「みらいまる見え政治資金」も「みらい議会」も0議席だったらリリースすらできなかったでしょうし、リリースされたことで1議席でもここまでできると示せたわけです。
政治資金規正法の議論においても、結構大きなマイルストーンになったと思います。0と1議席はめちゃめちゃめちゃ大きな違いだと思います。
初国会「『怪しくないですよ』など1つ1つ説明している」
――国会に入って驚いたことは何ですか? 例えば、見たことがないFAXというものが生き生きと活動しているとか(笑)。本会議場にパソコンを持ち込んじゃいけないとか。会議のやり方も基本的には“口頭弁論”で、スライドを映して議論するわけでもないし、参考人は最近できるようになったけど(議員は)オンラインで議論に参加することもできない。
あとは、海外のカンファレンスに参加する時にも、国会会期中だといろんな長大な根回し、手続きをしないといけないとかですね。色々ありますよ。まあそういうものは、ひとつひとつ解決していけるといいなって思ってますね。
――国会で初めて会う人とはどんな話をするんですか? 「君は誰なんだ」「チームみらい」って何なんだ、みたいに全然知られてないわけですよ。それで「(自分は)こういうこと考えてる人ですよ」「怪しくないですよ」っていうのを、ひとつひとついろんな方に説明してという感じですね。
――印象的な人はいましたか? いっぱいいますけど、泉房穂さん(元明石市長、7月の参院選で当選)は印象的です。
――泉さんは参議院の首班指名の1回目投票で安野さんに1票を入れ、「私は安野さんと親しいので、頑張れという気持ちでいたんです」と話したそうです。どういう関係ですか? 私が去年の東京都知事選に出馬して、まだ街頭演説で10人くらいしか集まらなかった時に聴きに来てくれたんですよ。1人だけ見たことある人がいて、それが泉さんでした。
その時が初めてで、演説後に「ありがとうございます」って言ったら名刺を渡されて。そのあと泉さんは「意外と演説は普通だった」ってツイッターに書いていました(笑)。
――泉さんの明石市政からインスピレーションを受けるものがありますか? 子育て世代や教育にしっかりと投資していこうっていう考え方は、チームみらいもすごく訴えている内容なので、その部分に関して考えは合うと思いますね。そうした話はしたことがあります。
――首班指名での一票を泉さんにお願いしたのですか? いえ。多数派工作を試みたわけではないです(笑)。投票の後は泉さんとはまだ話してないですね。投票前には「入れるで」って言われました。その時「ありがとうございます」って言ったかもしれないですけど、止める権利は私にはないですし、泉さんから票をいただくことで別にわれわれも損するものではないので、そこはもう泉さんの思うようにしていただくのがいいんじゃないかと。
自民党から「政権運営で一緒にやりませんか」という話は?
――今回の高市政権をどうみますか? 国民からめちゃめちゃ期待されているので、その期待に応えていただけるようになるといいなと思っています。
――首班指名で協力を求める相談は自民党からありましたか? いや、来てないです。(票は)足りていたんじゃないですかね。
――政権運営で一緒にやりませんか、という話は来ていませんか? まだ来ていませんが、われわれとしてはもちろん協力できるところはもうガンガン協力していきたいと思うので前向きです。同時に、ここはこうした方がいいんじゃないですかとか、そういう是々非々の議論をさせていただきたいと思いますね。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班