今村洋史元衆院議員(63)が理事長を務める「医療法人有俊会いまむら病院」(愛知県一宮市)が、新型コロナウイルス下の医療体制を確保するための補助金をだまし取った疑いが強まり、名古屋地検特捜部が、詐欺容疑で同病院や取引先などを家宅捜索したことが31日、関係者への取材で分かった。
受給総額は17億円余りに上り、県の調査で4億円余りの不正受給が判明している。特捜部は関係者から事情を聴いており、今村理事長らの立件に向け詰めの捜査を進める。
関係者によると、今村理事長と妻の理事らは2020年12月~24年1月、国の交付金を財源に、個人防護具や医療機器などの購入費を補助する愛知県の「設備整備」事業で計約3億8900万円の交付を受けた際、虚偽の事業実績報告書を提出し詐取した疑いが持たれている。
今村理事長らは取引先に架空の納品書などを大量に発行させていた。病院側は事務長経験者ら数人が補助金申請に関わり、うち一人は特捜部に「今村理事長と理事の指示だった」と証言している。
有俊会は設備整備以外にも、コロナ患者の受け入れに備えた「空床補償」で計約13億7600万円を受給。うち消毒委託料(約1億5000万円)も過大請求だった疑いが出ている。 [時事通信社]