名古屋主婦殺害の容疑者「26年間、毎日不安だった」…事件への関わりを家族にも話さなかったか

名古屋市西区のアパートで1999年11月、高羽(たかば)奈美子さん(当時32歳)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕されたアルバイト安福久美子容疑者(69)が愛知県警の調べに「26年間、毎日不安だった。8月に警察が来て、捕まってしまうと覚悟した」と供述していることが県警への取材でわかった。奈美子さんに対しては、「申し訳ないと思っている」と謝罪の言葉を口にしているという。
県警や安福容疑者の近隣住民によると、安福容疑者は事件当時から逮捕されるまで、現場アパートから約10キロの地域で家族と暮らしていた。奈美子さんの夫の悟さん(69)が事件後に転居した自宅とは約2キロしか離れていなかった。
安福容疑者は県警の調べに対し、「事件発生日の頃になると気持ちも落ち込んで沈んだが、(自分に)家族や親族がいるし、迷惑をかけられず、捕まるのが嫌だった。事件に関する新聞も見られなかった」と話しているという。事件への関わりを家族にも話していなかったとみられ、逮捕当時は名古屋市内の大型スーパーで事務員のアルバイトをしていた。
県警は昨年、過去25年間の捜査資料の中から数百人をリストアップし、捜査を続けていた。現場アパートには奈美子さんのものとは異なる血痕が残されていたため、聴取した相手には、DNA型鑑定に必要な検体を提出するよう協力も求めてきた。
安福容疑者は今年8月以降に複数回、県警から任意で事情を聞かれていた。DNA型鑑定への協力は拒んでいたが、10月30日に応じ、その日の夜に県警西署に一人で出頭。31日にDNA型が一致したとの鑑定結果が出たため、殺人容疑で逮捕された。
事件当時、奈美子さんと面識がなかったとみられる。悟さんとは高校時代の同級生で部活動が同じだった。悟さんによると、安福容疑者と最後に会ったのは、事件の約5か月前に開かれた部活動のOB・OG会で、言葉も交わしていたという。