11月1~2日実施のJNN(TBS系)世論調査で高市内閣の支持率は82%を記録。8割超の高支持率は、2001年に小泉純一郎内閣が発足直後に叩き出した88%に次ぐ歴代2位の数字だ。
高市首相は来日したトランプ米大統領との首脳会談で大ハシャギ。「サナエ」「ドナルド」と呼び合う親密演出に、あれだけテレビが「大成功」と騒ぎ立てた直後の調査だ。印象操作のご祝儀感は否めない。実際、自民の政党支持率はほぼ横ばい。当時の小泉人気が発足当初から自民の支持率を押し上げ、数カ月で約10ポイント上昇させた時のような気配はゼロだ。8割支持の“化けの皮”は早くも剥がれつつある。
舞台は岐阜・美濃市。「美濃和紙」で知られる人口約1万8000人の小都市の市長選が2日に投開票を迎え、自民推薦の新人候補が同じく新人の無所属候補に敗れた。自民が推した元市議・渡辺暁典氏(51)の3013票に対し、当選した元市総務課長・篠田啓介氏(54)は6617票と倍以上の大差がついた。
「自民系の武藤鉄弘・前市長(72)が突然、高齢を理由に引退を表明。10月末の辞職に伴う市長選は当初、武藤市政の継承を訴えた渡辺さんが有利とみられていた」(地元市政関係者)
美濃市を含む衆院・岐阜3区は武藤容治前経産相が父・嘉文氏から引き継いだ自民の牙城。岐阜は衆院5小選挙区のうち4つを自民が占め、参院も2013年選挙で1人区となって以来、自民が独占中だ。そんな鉄板の保守王国で、相手陣営に「当確の一報は夜8時の投票締め切りから10分足らず。バンザイが早すぎて、支援者や近隣市長らの到着が間に合わず、10時半過ぎに2度目を行わざるを得なかった」と言わしめるほど、自民系候補が大敗を喫したのだ。
公明離反と右寄り新興勢力との重なり
市長選の公開討論会の前に、武藤前市長が渡辺陣営にのみ自身の施策をまとめたカンペ資料を渡していたことが判明。前市長が市職員に命じて用意させたものだった。
「発覚は告示直前。『問題ない』という前市長の居直りも市民の反感を買った」(自民関係者)という特殊要因があったとはいえ、保守王国でダブルスコア以上の惨敗は異常事態だ。そこで浮上するのが公明党の連立離脱の影響である。
公明は前回、自民と共に武藤氏を推薦したが、今回は自主投票に。ある公明県議は「党本部の方針で新人には原則、推薦を出さない」と言いながらも、選挙結果に「組織が動かなかった影響はあると思う」と認めた。
美濃市長選は「アリの一穴」で、公明離脱の影響が自民の選挙を徐々にむしばんでいくに違いない。党内からは「高市総理の個人人気を熱烈に支えているのは、参政党や日本保守党といった右寄りの新興勢力の支援者たち。いざ選挙で彼らがウチに投票するとは限らない」(自民関係者)との声も聞こえてくる。目いっぱい膨らんだ「高市バブル」がはじけるのは時間の問題だ。
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絶好調の高市内閣だが、スキャンダル噴出の予兆も……。関連記事【もっと読む】『高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気』などで詳報している。