静岡市の清水港で7月、着岸中だった貨物船の船底部から大量のコカインが見つかった事件で、第3管区海上保安本部は12日、ブラジル国籍の男ら4人を麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的輸入未遂)容疑で逮捕したと発表した。乗組員に気付かれることなく薬物を船に隠す「パラサイト型」と呼ばれる手口でコカインを密輸入しようとした疑いがあり、同手口による逮捕者は全国で初めてという。
逮捕されたのはいずれも職業不詳で、東京都足立区、イトウ・ファビオ・ヒデキ容疑者(47)らブラジル国籍の3人と、東京都港区、山中玲浩奈(れおな)容疑者(44)。
発表によると、4人は昨年1月29日、静岡県富士市の田子の浦港に着岸していた貨物船の船底部の「海水取入口(とりいれぐち)」に隠していたコカイン約20キロ(末端価格約5億円)を回収して密輸入しようとした疑い。認否は明らかにしていない。
逮捕された4人とは別の男が潜水してコカインを回収しようとしたが失敗。男は溺れて死亡し、昨年2月に静岡市の清水港沖で遺体が見つかった。遺体はウェットスーツを着た状態で、工具を所持するなど不審点があったことから、海保などが捜査を進め、今年7月に清水港に寄港した貨物船からコカインを発見した。