高市早苗首相は14日の参院予算委員会の総括質疑で、今冬の電気・ガス料金の補助について、夏より増額する方針を示した。最低賃金に関しては、石破茂前首相が掲げた「2020年代に全国平均1500円」の目標の堅持を明言しなかった。ともに立憲民主党の古賀之士氏への答弁。
政府は今年7~9月、標準的な家庭の電気・ガス料金の負担を計3000円程度抑制した。首相は「寒さの厳しい冬の間、深掘りした支援を行う。これまでよりちょっと金額を上げる」と語った。
古賀氏は20年代1500円の最低賃金目標を引き継ぐよう要求。首相は「今、必ずいつまでにいくらと申し上げるわけにはいかない。それは無責任だ」と拒否した。「結果的にこれまで示された目標よりも高くなる可能性もあるし、外的な要因で難しい場合もある。賃上げができる環境をつくる」と指摘した。古賀氏は「事実上の撤回だ」と批判した。
首相は企業が過度に現預金をため込むことや株主還元を重視し過ぎることを問題視。「賃上げを含む人への投資に(利益を)効果的に活用してほしい」と述べ、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂し、経営資源の従業員らへの適切な配分を促す方針を示した。また、労働時間規制の緩和について「上限規制の範囲内でもっと働けるようにすべきだ。働き方改革のメッセージが強く効き過ぎ、企業が残業を過度に抑制しているという意見がある」と指摘した。国民民主党の川合孝典氏への答弁。
林芳正総務相は軽油引取税の暫定税率廃止に伴う地方自治体の減収への対応に関し「今後の税制改正などで安定財源の確保をしっかりやっていきたい」と述べた。自民党の小鑓隆史氏への答弁。
れいわ新選組の天畠大輔氏は、ハンセン病患者とされた男性が隔離施設の特別法廷で裁かれ、1962年に死刑を執行された「菊池事件」を取り上げた。首相は「尊厳を傷つけ筆舌に尽くしがたい苦しみを与えてしまった。深くおわびする」と陳謝した。
12日に始まった総括質疑は3日間の日程を終えた。 [時事通信社]