ビキニ被ばく訴訟原告「何を考えているのか」 非核三原則見直し巡り

核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則のうち「持ち込ませず」について、高市早苗首相が見直しの検討に入ったことに対し、核廃絶を訴えてきた市民らからは怒りの声が上がっている。
高知市の下本節子さん(74)は、米国によるマーシャル諸島・ビキニ環礁での核実験(1954年)で当時漁船員だった父親が被ばくしたとして、国などを相手取り2件の訴訟を起こしている。非核三原則の見直し検討のニュースを聞き、「人類の破滅につながる核兵器はなくすしか選択肢はない。一体何を考えているのか」と語気を強める。
下本さんは2024年3月、マーシャル諸島を訪れ、核実験被害に苦しむ住民らと会った。現地ではかつて若い人が次々に病気で亡くなり、生まれた子どもにも異常が見られた。十分な説明も補償も受けられず、住民らは米国に対する強い不信感を持っていた。
下本さんは「原爆に加えビキニ核実験でも被害に遭った日本は、もっと米国の責任を追及すべきではないか」と訴える。さらに「米国の核政策に追従するのではなく、中国や韓国、北朝鮮を含めた北東アジア非核兵器地帯の実現に向け、もっと主体的に動いてほしい」と呼びかける。【鵜塚健】