元病院長に有罪判決=「職業倫理にもとる」―患者間殺人隠蔽・青森地裁

青森県八戸市のみちのく記念病院で2023年3月、入院患者間の殺人事件を隠蔽(いんぺい)したとして、犯人隠避罪に問われた元院長石山隆被告(62)の判決が20日、青森地裁であった。蔵本匡成裁判長は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
蔵本裁判長は、殺人事件が発覚すれば病院の信用に傷が付くと考え、同被告は隠蔽に及んだと指摘。「誠に身勝手で浅はかだ。医師の職業倫理にもとる行動で、酌量の余地はない」と厳しく非難した。
その上で、同被告は認知症により適切な診療に当たることが困難な「みとり医」と呼ばれる医師に虚偽の死亡診断書を作成させるなど、重要かつ不可欠な役割を果たしたと認定。同病院では21年ごろから、夜間に患者が亡くなった際には「みとり医」による死亡診断が常態化していたことがうかがわれるとも述べた。
一方、被告が起訴後に事実を認め、反省の態度も示していることなどから、刑の執行を猶予するのが相当だと結論付けた。
判決によると、石山被告と、弟で患者の主治医だった哲被告(60)=犯人隠避罪で起訴=は23年3月12~13日、入院中の男(60)が同室の男性患者=当時(73)=を殺害したことを知りながら警察に届け出ず、死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を妻に交付し、逮捕を妨げた。 [時事通信社]