24日午後0時半頃、東京都足立区梅島の国道4号で乗用車が暴走し、道路左側の歩道に突っ込んで歩行者らを次々とはねた。80歳代の男性が死亡したほか、20歳代の女性が意識不明の重体。このほか10~70歳代の男女9人が腰などに重軽傷を負った。車は現場近くの自動車販売店から盗まれたもので、警視庁西新井署は、車を運転していたとみられる同区内の職業不詳の男(37)を窃盗容疑で逮捕した。
同庁幹部によると、乗用車は足立区役所前の交差点で、横断歩道を渡っていた20歳代の女性をはねた後、北に約90メートル離れた道路左側の歩道に進入。約100メートルにわたって走行し、死亡した男性を含む4人をはねた。
その後、車道に戻って複数の車に衝突。さらに、トラックに追突して計6台が絡む玉突き事故を起こし、道路脇のガードレールに衝突して停止した。車は計約300メートルにわたって暴走し、運転手は現場に車を乗り捨て逃走していた。
車は白色のセダンで、現場近くの自動車販売店の駐車場から盗まれたものだった。同日午前10時半頃、同店従業員から「車が盗まれた」と110番があり、同署のパトカーが事故直前、この車を付近で発見。サイレンを鳴らしながら追跡中だった。
男は午後1時過ぎに自宅で身柄を確保された。調べに「車を盗んだわけではなく、試乗するために店から出て、国道4号を走った」と容疑を否認している。男は精神疾患を抱え、6年前から通院していたという。同庁は今後、道路交通法違反(ひき逃げ)や自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)容疑でも調べる。
現場は片側2車線の直線道路で、東武鉄道西新井駅から東に約1キロのマンションなどが立ち並ぶ地域。
乗り捨てられた車は、ボンネットが大破し、周囲には車の破片が散乱していた。現場近くの国道脇には大型の家具販売店があり、事故を知った買い物客らが歩道にごった返すなど、一時騒然となった。
近所に住む男性は、頭から血を流している女性や、ぐったりした様子で道に横たわる女性らが救急車で搬送されていく様子を見たという。男性は「とんでもない事故が起きた」と声を震わせた。
別の男性(76)は、現場の国道沿いを歩いていた際、ガシャーンという衝突音と女性の叫び声を聞いた。車道に目をやると、追突事故を起こしたとみられる白のセダンから男が降り、走り去ったという。男性は「一瞬の出来事で周囲の人もあぜんとしていた」と振り返った。