「お茶通して平和を伝えた」 茶道裏千家・千玄室さんお別れの会

茶道の国際化と普及に努め、8月14日に102歳で亡くなった茶道裏千家十五代家元で文化勲章受章者の千玄室(せんげんしつ)さんのお別れの会が27日、京都市左京区の国立京都国際会館で開かれた。約4200人の参列者は「一碗(いちわん)からピースフルネスを」を掲げて世界を歴訪した故人との別れを惜しんだ。
会では参列者らが冒頭に黙とうし、家元を継いだ長男の十六代千宗室さんが「入院して、またたく間に亡くなって本人も不思議がっているような気がしてなりません。ぜひとも故人をしのんでいただければ」とあいさつ。玄室さんの写真や茶器が据えられた祭壇に白菊を献花した。
会場には、茶道に生きる転機になった海軍時代や、「茶の湯外交」を展開して世界各地を訪れた故人の足跡をたどる63枚の写真パネルも展示された。
参列した華道の池坊専永家元は「非常に優しくて、かがみのような人だった。言葉では言い表せない」と人柄をしのび、京舞井上流五世家元で人間国宝の井上八千代さんは「日本文化を世界に広め、お茶を通して平和を伝えられた。さみしいことですね」と惜しんだ。
世界的な建築家の安藤忠雄さんは「未来を見ていた方だった。この方が亡くなったら文化が無くなってしまうと思うほどの文化的な方だった」と話し、清水寺の森清範貫主(かんす)は「とても寛大で、りんとした厳しさもあった。何度も戦争の話をさせていただき、平和への思いを感じた。残された者がその遺志を受け継いでいかなくてはならないと思う」と語った。
午前は、茶道関係者のほか、文化人や政界関係者らが参列し、午後は一般の参列者が花を手向けた。【大東祐紀、日高沙妃】