高市首相が、SNSを活用した発信に力を入れている。日常のつぶやきから政府の取り組み、外交成果まで、自身の言葉で連日投稿し、国民の関心を引きつけている。本音やユーモアも交えた内容は話題を呼ぶ一方で、批判にさらされる「炎上」の危険性もはらむ。(政治部 高田彬)
「『財政の持続可能性』にも十分に配慮した姿を実現できた」「『責任ある積極財政』の考え方の下、マーケットからの信認を確保していく」
首相は28日夕、2025年度補正予算案が閣議決定されると、自身のX(旧ツイッター)にこう投稿し、国債発行額が昨年度を下回ることなどをアピールした。財政悪化を懸念し、円安や長期金利の上昇が続く市場を意識したものだ。
首相はXで236万人を超すフォロワーを抱え、ほぼ毎日、投稿する。政策に関する内容では、首相秘書官が原案を書くこともあるが、「基本的には首相が自分で書く内容を考えている」(首相周辺)という。
公務が中心だった歴代首相の発信とは打って変わり、私生活に踏み込むこともある。8日には、美容院に行けず、「自分で髪を切っては失敗して夫に笑われている」とぼやいた。親しみやすさを打ち出し、2000万回以上閲覧された。
外交の舞台では、各国首脳と交流する写真を積極的に載せている。10月28日には来日した米国のトランプ大統領と、大統領専用ヘリコプター内で撮影したツーショットを掲載。31日には韓国で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の控室で、中国の習近平(シージンピン)国家主席と笑顔で向き合う「オフショット」も紹介した。
SNSで飛び交う自身に関わる投稿への反論に使うこともある。夫の山本拓元衆院議員が秋の叙勲で旭日大綬章を受章する際には、「『首相の夫だから?』との臆測も見られる」とし、「叙勲の閣議決定は、私が就任する前の石破内閣の時」と強調した。
直接の発信には、危うさもつきまとう。
今月21日には、主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)に向かう道中で、「外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ」とつづった。国会での質疑で「日本最高の服で外交交渉して」と求められたことを受けたものだが、優位性を誇示する「マウント」との表現で物議を醸した。
首相官邸内では「慎重な言葉遣いが必要だ」と気をもむ声も出ている。