大阪・堺市の中学校の校長が、保護者への対応をめぐり教育委員会からパワーハラスメントを受けたなどとして、市に損害賠償を求める訴えを大阪地裁堺支部に起こしました。
訴状などによりますと、去年7月、原告の校長が堺市の中学校に勤務していた際、生徒3人が無断で近所のスーパーへ昼食を買いに行ったことを担任教師が注意しました。その後、スーパーに行った生徒3人のうち1人の保護者が「教師の指導は不適切だった」として、学校に懲戒処分や担任から外すことなどを求めてきたといいます。
校長は法律的な助言をするスクールロイヤーの弁護士に相談するなどし「処分や担任を外すということだけが解決策ではない。生徒に対して、継続して指導や見守りなどを行う」などと保護者に説明しました。
保護者は納得せず、市教委は保護者の要望通りの対応と謝罪を指示してきたといい、校長は去年12月に適応障害、今年5月にうつ病の診断を受けました。
校長は、保護者への対応で通常の業務範囲を超えた過大な要求を強いられ「パワハラ」を受けたと主張し、堺市に慰謝料などあわせて330万円の損害賠償を求めて提訴しました。
校長は提訴後、報道陣の取材に対し「(市教委に)こちらの対応について理解していただけずに結局本意では無い方向に進められた」と話しています。
堺市は「校長先生に対して適切に対応したと認識している。提訴内容を確認しながら今後の対応は判断していく」としています。