東北大などの研究チームは2日、米航空宇宙局(NASA)の探査機が小惑星から持ち帰った砂から、代謝の主要なエネルギー源であるグルコース(ブドウ糖)やRNA(リボ核酸)を構成するリボースなど、6種類の糖を発見したと発表した。隕石(いんせき)を含めた宇宙由来の物質からブドウ糖が発見されたのは初めて。チームは地球の生命の材料や生命活動を支える物質が宇宙から飛来したことを裏付ける成果としている。
NASAは2023年9月、「米国版はやぶさ」とも称される探査機「オシリス・レックス」で、小惑星ベンヌから試料を持ち帰った。チームはこのうち約0・6グラムの試料提供を受けて有機物を抽出、糖類を精製した。
その結果、ほぼ全ての生物が利用する生命の基本的なエネルギー源となるブドウ糖が見つかった。乳糖に含まれるガラクトースも初めて検出された。
さらに、生命の遺伝情報を保存したり、生体内の反応を促進したりするRNAを構成する糖のリボースも確認された。これまでベンヌの試料からはRNAを作る核酸塩基とリン酸、たんぱく質を作るアミノ酸が見つかっていた。今回の発見で、RNAを作る「部品」が全て宇宙に存在することが明らかになった。
リボースなどの糖は、これまで地球に落下してきた隕石からは検出されていたが、地球に存在する糖が混入した可能性が否定できていなかった。
研究チームの古川善博准教授(地球化学)は「宇宙にRNAの材料があって、それが地球に飛来してきたことが決定的になった」と意義を語る。成果は英科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された。【信田真由美】