警察庁の楠芳伸長官は2日、クマによる人身被害が続く岩手県を訪れ、ライフル銃による駆除任務を行う機動隊員らを激励し、盛岡市内のクマ出没現場を視察するなどした。楠長官は「事態の深刻さを認識した」と話し、住民の安全確保を最優先に被害防止の取り組みを進めるよう指示した。
相次ぐ被害を受け、警察は応援の機動隊員らで構成し、ライフル銃による駆除を行う対応チームを秋田、岩手両県に設けた。11月13日に活動を開始し、同18日には岩手県岩泉町のクマ出没現場に初出動したが、日没で発砲はしなかった。
県警幹部から対応状況の報告を受けた楠長官は、県警本部で対応チームら関係職員約90人に訓示。「クマ駆除はこれまで警察が経験したことのない任務だが、使命感と気概、全国警察が一丸となっているという自負を持って任務に当たってほしい」と要望した。
その後、10月20日にクマ1頭が出没し、捕獲された盛岡市の原敬記念館を視察。報道陣に「市中心部で保育園も隣接する場所であり、地域住民の安心、安全を脅かす深刻な事態だと認識した」と話した。 [時事通信社]