安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(45)は3日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれた裁判員裁判の被告人質問で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の幹部を襲撃できていれば、安倍氏は標的にならなかったことを認めた。「(安倍氏は)本筋ではなかった」と明らかにした。
被告は、安倍氏が2021年に旧統一教会の関連団体に寄せたビデオメッセージを視聴していた。これ以降、安倍氏について「頭の片隅には常にありました」と語った。
一方で、被告は教団幹部の襲撃を考えていたが、幹部の来日が実現せずに計画を断念していた。これに伴い、安倍氏を標的としたのは事件のあった22年7月に入ってからだと明らかにした。
「安倍氏を襲うことは納得しているのか」と問われた被告は「あくまでも旧統一教会が対象だった。教団に賛意を示す政治家の最も著名な人というのは、意味がないとは思いませんが、本筋ではないと思いました」と語った。
被告の母親は教団に対し、献金として総額1億円を渡していた。【田辺泰裕】