山口県宇部市で発生した大規模ガス漏れ事故の復旧に向け、山口合同ガス(下関市)は5日、今後の復旧計画を明らかにした。ガスの供給を停止している約1万2200件の復旧作業を7日までに完了する計画だが「戸別訪問して安全確保のための保安点検作業とガス開栓業務をするため、相手が不在の場合は復旧がずれ込む恐れがある」としている。【山本泰久】
山口合同ガスの計画では、5日に約3200件▽6日に約4500件▽7日に約4500件――の復旧を目指す。希望者に調理用のカセットコンロを配布する他、火災による被災者や負傷者への補償もする。「火災によって失われた財産があれば、対応する」としている。
復旧計画は4日に山口合同ガス宇部支店を訪れた経済産業省中国四国産業保安監督部の職員2人にも報告。同監督部は事故発生状況の把握の他、再発防止対策、早期のガス供給再開を求めた。
山口合同ガスは5日、中四国のガス事業者から約50人の応援を受け、自社の社員約110人と合わせて計約160人態勢で戸別訪問し、保安点検作業、ガス開栓業務を継続。同社は「対応人数が足りないため、更に応援を求める」とし、計画通りに7日の全面復旧を目指す。
復旧状況については山口合同ガスのホームページで逐次更新している。
火災23件と3人が負傷
4日発生した宇部市の大規模ガス漏れ事故では、5日正午までに23件の火災と3人の負傷が確認された。事故から一夜明けた5日もガス供給停止の影響は続いた。
宇部市松山町の佐々木明美さん(79)は4日午前6時半ごろ、「ガスが漏れています」というアラーム音で目を覚ました。台所へ行くとガスの元栓から炎が上がっていた。「爆発するんじゃないか」。ガス会社に何度も電話をしたが通話中でつながらず、消防に出動を要請して消火できたもののガス台の壁は大きく焼損した。
午後には訪れたガス会社社員から謝罪を受けた。「使わない時は必ず閉める元栓が燃えた。どうして?」。火の元に注意し、着火もしていないガスの元栓からの出火にショックを受けた。
宇部市琴芝町の神原保育園(108人)では、ガスの供給停止に伴い、給食の提供や暖房の使用ができなくなったため、自宅待機を要請した。しかし、保育が必要な園児が約50人いたため、防寒対策と弁当持参の上で受け入れた。6日も園児を受け入れる予定で、カセットコンロを使って給食を提供する。徳田宏子園長は「保護者には負担をかけて申し訳ない。一刻も早く復旧してほしい」と語った。【脇山隆俊、綿貫洋】