広がる年内入試、私立大の8割が導入 河合塾「来年以降さらに増加」

大学入試で12月までに合否が決まる「年内入試」の導入が全国で広がっている。文部科学省はこれまで学力試験を2月1日以降に実施するよう求めてきたが、2026年春入学の入試からそのルールを条件付きで緩和。大手予備校の河合塾によると、解禁元年となる今回、年内に学力試験を課す大学は8割に上るという。
年内入試は、早い時期に合格を決めたい受験生と入学者を確保したい大学側の思惑が一致。23~25年春入学の私立大入試では入学者の約6割を「学校推薦型選抜」や「総合型選抜(旧AO入試)」の年内入試が占め、主流になりつつある。ただ、高校側は「授業の進度が追いつかない」などの理由で否定的な声が根強い。
河合塾の調査は、志願者数などを基準に全国の主要約220大学を対象に実施。年内入試の実施状況について調べたところ、9月末時点で少なくとも1学科または1方式以上で学力試験を課すとした大学は前年比3ポイント増の80%に上る。ただ、入試方式別に集計すると32%で、全体から見れば3分の1程度という。
年内入試を巡っては、近畿地方の複数の大学が事実上、学力試験のみでの合否判定を長年実施しており、「2月1日ルール」が形骸化していた。24年12月には東洋大も学力試験のみで合否を決める学校推薦型選抜を実施し1万9000人以上が志願。これらを契機に文科省や高校関係者が「ルール違反」と指摘し物議を醸した。
文科省は大学や高校関係者らと協議し6月、大学入試の実施要項に年内入試での学力試験実施について、小論文や面接などの評価方法と組み合わせる場合は可能とする見解を新たに示した。
年内入試の広がりについて、河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は「6月のルール変更を受けてすぐに対応できなかった大学も多くあるとみられる。来年以降は実施校がさらに増える可能性がある」と指摘する。【木原真希】