自殺した父は家まで奪われた「本当は殺人罪で…」遺族が明かす無念 占い師自殺教唆事件

令和2年に信者の男性2人をそそのかし入水自殺させたとして、自殺教唆などの罪に問われた自称占い師の浜田淑恵被告(63)の初公判が17日、大阪地裁で開かれ、弁護側は心神喪失による無罪を主張した。亡くなった男性=当時(66)=の30代の長男が初公判後に記者会見し、「本当は殺人罪で裁いてほしい」と複雑な思いを明かした。
男性は2年8月に和歌山県の海で死亡。浜田被告らは男性の遺書を偽造したとされ、和歌山県警は当初自殺で処理していた。しかし、浜田被告からの恐喝被害を訴える別の信者が大阪府警に被害届を提出したことで、男性らも単なる自殺ではなかった疑いが浮上した。
この日の初公判で、弁護側は起訴された内容自体は認めつつ、当時は心神喪失状態で刑事責任能力はなかったとして無罪を主張。被告も「システムプログラムが私の脳をジャックしてやった」などと話した。
被害者参加制度を利用して公判に出席した長男は会見で「裁判がようやく始まった」と述べた上で、「(被告は)普通の考えじゃない。怒りや悲しみ、いろいろな感情がうずまいて、もやもやした」と語った。
男性の死亡後、男性名義の家は浜田被告の親族名義に登記を書き換えられ、浜田被告らが住むようになった。男性側によると、今も浜田被告の親族が暮らす。浜田被告は登記変更に必要な書類を偽造したとする有印私文書偽造・同行使罪にも問われている。
会見で長男の代理人弁護士はこうした経緯を踏まえ、「被告は遺書を偽造するなど極めて人間らしく、合理的に判断している」と指摘。長男側は大阪地検に対し、殺人罪での訴追を求めている。
起訴状によると、浜田被告は信者の女(59)=有罪判決=と共謀し令和2年7~8月、信者だった男性2人に自殺を決意させ、和歌山県の海で入水自殺させたなどとしている。