【永田町番外地】#57
高市自維連立政権がスタートして初となる臨時国会が17日、58日間の会期を終えて閉会した。
無事成立した総額約18兆3000億円に上る補正予算は、高市色を前面に出した「危機管理・成長投資」関連予算と、2万円の子ども給付金バラまきなど、予算案に反対していた公明、立憲民主にも配慮したものになった。連立組み替えと併せ、与野党それぞれ手探りが続くねじれ国会だった。
この高市政権と、石破政権までの大きな変化は何かといえば、長年自民党に寄り添ってきた公明党の連立離脱の影響だろう。二階元幹事長や菅元首相に連なる自民党内の親中、親創価学会政治家の発言力が一気に低下し、「弱腰」といわれてきた対中外交が大きく転換してしまったことだ。
「台湾有事の高市発言が象徴的でしたね。公明が連立内にいたら、自民党の親中派と一緒になり、“中国を刺激するな”と騒ぎ立て、高市発言を撤回するのかしないのか、政権内は真っ二つの大混乱で、みっともないところをさらしていたと思う。それを考えれば、公明党の支持率も上がっているようだし、お互いに別れて正解だったのでは」(自民党ベテラン職員)
公明党が、2カ月前に今日の事態をいち早く予想して政権離脱を決めたとしたなら、股裂き状態を回避したたいした危機予知能力であり保身術だったと言うべきか。
公明党や二階元幹事長がいなくなったことで、中国も遠慮なくいじわるをしかけているが、政権内には意外と危機感はない。「これまでの日本政府の中国人観光客や留学生に対する過剰な“おもてなし”がなくなり、せいせいした」なんて声が飛び交う自民党内である。
■後釜の維新からは次々とタチの悪い話が…
一方、公明の後釜に収まった維新は、評判通りの“性悪”ぶりが次々暴かれ、高市首相の脳裏に不安がよぎる臨時国会でもあったろう。
「法の抜け穴探しが大好きな地域政党・大阪維新の体質は救いようがないところです。つい最近も“名義貸し”で維新府議の関与が指摘されたり、維新府議主催のゴルフコンペの景品を民間企業が無償提供していたことが明るみに出ています」(全国紙デスク)
チマチマした悪ばかりだが、問題はこのタチの悪い地域政党(大阪維新)が国政政党(日本維新の会)を突き上げ、吉村大阪府知事に「連立離脱」を言わせ、勝手気ままに振る舞っていることだろう。極端な話、高市政権は一握りの地域議員に国家権力が振り回されるいびつな3重構造下にあるわけだ。
高市首相もそろそろ決断のときが迫っているのではないか。 (特命記者X)